テレスコープ入れ歯とインプラント入れ歯では何が違う?

(総義歯に近い場合の入れ歯の場合の比較編)

―インプラント支持入れ歯とは…

インプラント支持入れ歯とは、主に上顎に歯が1本もない、又は下顎に歯が1本もない場合に、数本のインプラント体を顎骨に植立します。このインプラントにスナップボタンの様な突起をつける事で、インプラントと義歯の内面がパチっと止まる構造になっている義歯です。義歯の着脱は、スナップボタンの着脱と同じ様な感じになっていて、ボタンを止める事で義歯をお口の中で動かない様に固定する仕組みになっているので、一般的なバネの入れ歯に比べてズレたり落ちたりする心配がなく、安定感のある義歯です。

インプラント支持入れ歯には適切なメンテナンスと衛生管理が必要です。インプラント周囲の歯磨きが不十分だと感染リスクが高くなり、インプラント周囲炎を引き起こす可能性もあることから、定期的に歯科医院でのケアと毎日のホームケアが必要となります。

インプラント体の平均的な寿命は約10年と言われていますが、適切なケアが行われない場合はインプラント歯周炎を引き起こし、早期に悪化する可能性もあります。また、顎の骨の質や量、全身的な疾患の有無などによっても耐久年数が変わる為、体の状態によって合う方と合わない方がいらっしゃいますので、治療に際しては熟慮の必要があります。

―インプラント体と天然歯の構造の違い

インプラントの特性上、インプラントは顎骨内に金属の柱を植立する様な構造となっている為、一切動きが出ません。一方、天然歯は歯根膜というクッションを介して顎骨内に植っているので、噛む際には1−2mm程度沈み込んだ理の動きが出ます。

従って、インプラント支持入れ歯の場合は天然歯が残っていると、この動きの補正がうまくいかない為、場合によって天然歯は抜歯してインプラント体のみでのインプラント支持入れ歯にする事が多いです。

 

―テレスコープ入れ歯とは…

テレスコープ入れ歯には幾つかの種類があり、お口の中の条件によって合うタイプのテレスコープを選択します。歯が多く残っている場合のテレスコープでは、歯を入れ歯の固定源として、歯が1−3本と少数しか残っていない場合には、歯だけで無く、歯のない歯肉の部分を入れ歯の固定源にします。

歯の無い部分が入れ歯を支える固定源になるの??と思う方もいらっしゃるでしょうが、歯が1本も無い場合の総義歯は、歯の無い歯肉の部分が入れ歯の固定源としますのでこの原理と一緒です。

テレスコープ義歯の場合には、残っている歯には内冠と呼ばれる被せものを被せ、入れ歯の内面に内冠と同じ形をした被せもの、外冠がくっついています。内冠と外冠の嵌合力が入れ歯の固定源となるのですが、歯が1−3本しか残っていない場合に入れ歯を安定させる力を歯の嵌合力だけに頼ってしまうと、残っている歯に強いダメージが掛かり、歯は直ぐにグラグラして悪化してしまいますので、噛んだ時に歯が沈み込む1−2mmの補正を義歯に加工することで、噛んだ時にも歯には強い力がかからず、歯肉に噛む力が分散されるような仕組みを取っています。

―テレスコープ義歯とインプラント支持義歯(インプラント義歯)の違い

この様な両者の構造的な違いより、インプラント義歯は入れ歯の形態が広く歯肉を覆っていなくてもボタンで固定されているので、比較的狭くてコンパクトな入れ歯の歯肉の形をしています。それと比べて、テレスコープ義歯は歯肉も義歯を支える固定源に使用しているので、入れ歯の歯肉部分は歯肉全体をカバーする大きさになっています。

コンパクトな形態の義歯は外した時の見た目は良いのですが、装着時に歯肉全体を覆っていない分、食べ物のカスが入れ歯の中に詰まりやすい事や、飲み物などの液体が入れ歯の中を通り抜ける様な部分が不快とされています。

入れ歯が歯肉全体を覆うと入れ歯自体は大きくなるのですが、歯を失うと口元の顔貌が凹んでシワが目立つ様になるのですが、入れ歯の歯肉が大きいことで、外側から見た顔貌も歯のあった時に近くなる効果があり、歯肉全体を義歯が覆っているので、食べもののカスも詰まりにくい形態です。

インプラント義歯に使用されているボタンは2−3年に1度程度の交換修理が必要になります。テレスコープ義歯では、長期使用できる材質で義歯を作っていますので、何か破損等が生じない限り、定期的な修理の必要はありません。

この両者のどちらの義歯に関しても、定期的なお口の中のメンテナンスとクリーニングに来院していただく必要があります。

多くの方の中には、入れ歯=外れる事に対する心配が根強くあります。そこで外れないイメージのインプラントが支持されています。ただ、インプラントにも色々その特徴があるので、治療を検討する際にはどの様な治療方法が自分には合っているのかをご検討下さい。

 

当院ではこの様な違いより、より患者様のメリットが高いテレスコープ義歯の治療をお薦めしています。