
朝起きたら、口が開かなくなっていた。
あくびをしようとしたら、顎にピリッと痛みが走った。
食事中、ガクッと顎がズレる感覚がある。
こうした症状は、顎関節症という疾患のサインです。
顎関節症は放置すると、治療がより難しくなる疾患です。
失われる生活の質
顎関節症の症状は、想像以上に日常生活に影響を及ぼします。
口が開かなくなると、食事が困難になります。
大きな食べ物を口に入れられず、お寿司の握りも食べる時に、小さく切り分ける必要があります。
硬いものが噛めなくなり、食べられる物が限られてくるので、食べたいものを食べる食事から、何が食べられるかで選択する食事に変化していきます。
この状態が長く続くと、栄養バランスが崩れ、体力や免疫力の低下につながっていきます。
顎の痛みで会話が億劫になったり、徐々に人とのコミュニケーションを避けるようになっていきます。
仕事での会議やプレゼンテーションが苦痛になり、友人との会話も楽しいものではなくなってきてしまいます。
これらの場面で、顎の痛みや違和感が気になるからです。
顎関節症は、顎だけの問題にとどまりません。
慢性的な顎の痛みは、頭痛、首や肩のこり、耳鳴りを引き起こします。
睡眠の質が低下し、日中の集中力や作業効率が落ちます。
慢性的な痛みによるストレスは、精神的な健康にも悪影響を及ぼします。
顎に何が起こっているのか分からない不安から、イライラしやすくなり、抑うつ状態に陥ることもあります。
長期間放置すれば、顎の関節が変形して、更に治療が難しくなります。
見過ごされる日常の習慣
顎関節症は、歯並びが悪い、噛み合わせが悪い人がなり易く原因の9割を占めます。
かみ合わせの悪い人は、顎の骨格の位置つまり顎関節の位置がズレていたりするので、全体の歯にかかる咬合力のバランスが均等でななく、この様な人は、顎の筋肉が常に緊張し、関節に持続的な負荷がかかります。
パソコン作業やスマートフォンの使用中に、この癖が現れやすくなります。
集中しているとき、気づかないうちに歯を噛みしめているのです。
睡眠中の歯ぎしりや食いしばりも、重大な原因です。かみ合わせの悪い人は、かみ合わせの良い人と比較して、奥歯により強い咬合力がかかります。
寝ている間は、自分の体重の何倍もの力が顎にかかります。
毎晩これを繰り返せば、顎関節は確実にダメージを受けます。
現代生活に欠かせないデジタル機器の使用も、顎関節症のリスクを高めます。
パソコンやスマートフォンを見るとき、多くの人が前傾姿勢になります。
猫背の状態では、下顎が本来の位置からずれ、関節に不自然な力がかかります。
長時間この姿勢を続けることで、顎関節への負担が蓄積していきます。
ストレスも大きな要因です。
心理的なストレスは、無意識の歯ぎしりや食いしばりを誘発します。
また、ストレスによって筋肉の緊張が高まり、顎周辺の筋肉も硬くなります。
ストレスと顎関節症は、悪循環を形成します。
顎の痛みがストレスとなり、そのストレスがさらに症状を悪化させるのです。
早期対応で守れる機能
顎関節症は、早期に対処すれば改善が期待できます。
しかし、放置して重症化すれば、治療が困難になります。
顎関節症の9割は、歯のかみ合わせのバランスの不具合からきています。
かみ合わせの良し悪しは、単に歯が真っ直ぐキレイに並んでいるかどうかではなく、顎を前後左右に動かす顎運動がスムーズに行える歯並びか否かを調べる必要があり、これは歯列模型から精密に検査する事が可能です。
不適切な噛み合わせが顎関節に負担をかけている場合は、必要に応じて噛み合わせを狂わせている被せ物や詰め物を替える、合わせる事で治る事もありますが、全体的にかみ合わせのバランスを崩している場合は、歯の矯正治療によりかみ合わせをよくする事で、改善が期待できます。
この場合の矯正治療では、小臼歯を抜歯する矯正治療は避けましょう。小臼歯を抜歯する矯正治療では、かみ合わせ上、症例によっては顎関節症をより引き起こし易いかみ合わせになる場合があるからです。
矯正治療を行う際には、事前に主治医の先生の説明をよく聞いてから、決めましょう。
この様に、どの様な治療が必要かは、その人によってかなり異なります。だからこそ、早期の段階で適切に診断を受ける事が重要です。
顎関節症は風邪と違って自然に治りません
口を開閉する時にカクッと音が鳴る、
大きく口が開かない、
口を開く時痛い…といった症状がある方は、顎関節症の可能性が高いです。
おかしいと思ったら、先ずは「かみ合わせ検査」を受診する事をお勧めします。
暫くしたら症状が落ち着いた…と思っても、実際には自然に治ることはありません。また、何らかのきっかけで再発する事はよくありますので、放置する事はお勧めしません。
気になる症状があれば、早めに歯科医院を受診しましょう。
「少し痛いだけだから」と我慢していると、症状は確実に進行します。
当たり前の機能を守るために
口を開ける、食べる、話す。
これらは日常生活の当たり前の動作です。
しかし、顎関節症になると、この当たり前が失われます。
一度失われた快適さを取り戻すには、多大な時間と努力が必要です。
重症化すれば、元の状態に完全に戻すことが困難になることもあります。
今ある健康を守ることが、最も確実で負担の少ない方法です。
違和感や痛みを感じたら、早めに湘南歯科医院までご相談ください。