ドイツ ハレ 歯科大学

テレスコープ義歯の変遷とその歴史−2

ー改良されたテレスコープ義歯

100年以上の歴史があるテレスコープ義歯は、長い期間の間に大きく技術的に進歩を遂げ、現在では歯の本数や残っている歯の健康状態等により、それぞれの状態に合ったテレスコープ義歯を選択するまでにそのバリエーションは発展しています。

材料的な発展も大きく、以前は強度的に金属を使用して作製しなければならなかった部分が多かったのですが、歯と同様の白い材料が開発されており、より強度が高く、より天然歯の様に白くてキレイに見える材料の使用が可能になりました。

また、近年では従来の方法とは全く異なる精密な加工技術も進展しています。

これらの多くの発展により、テレスコープ義歯の快適性や機能性が向上しています。

ーテレスコープ義歯の現代的応用とその難しさ

最近ではテレスコープ義歯は更に多様化しています。ここ最近では、過去にインプラント治療を受けたが、その後インプラントだけでは噛めない状態になった患者様からも、テレスコープ義歯の治療のニーズが多くあります。テレスコープ発祥地のドイツではインプラントを使用したテレスコープ義歯の治療も多く見受けられますが、日本ではまだそれ程発展していません。その理由は、インプラントを使用した場合のテレスコープの場合、天然歯とテレスコープ体が一顎の内に混在するケースでは、この状態で1つの装置(義歯)にしても、インプラント体と天然歯の動きが全く違うので、この両者を繋ぐ義歯を作製しても、この両者の動きの補正が上手くいかなければ、義歯が破損したり、インプラント体や天然歯の喪失に繋がりかねない問題があります。

この辺りの問題の解決が現在の課題となっています。

その為、ドイツでも天然歯を利用する場合は、天然歯だけを利用したテレスコープ義歯、インプラント体を利用する場合はインプラント体だけを利用したテレスコープ義歯としており、天然歯とインプラント体が混在したテレスコープ義歯のケースは見られません。

ーテレスコープ義歯の未来発展

テレスコープ義歯の開発当初は、義歯作成の為に使用する金属はゴールドを主体とする歯科用の強度を持った貴金属が主な材料でしたが、ここ近年のデジタル技術の発展と、貴金属の高騰や入手が年々難しくなっていることもあり、テレスコープ義歯の発症国であるドイツでも、コバルトの様な加工が難しい金属や、金属以外の樹脂系の白い材料を使用したテレスコープ義歯の内冠、外冠の開発が盛んに学会でも発表されています。

新しい材料や技術に関しては、日本の薬事法による制限があることや、新しい義歯を使用した場合の経年変化等の情報がまだない事より、今後発展することではありますが、直ぐに飛びつき始めることではなく、少し慎重に経過を見る必要がある部分だと思います。

この様に、テレスコープ義歯は昔の原理はそのままに、新しい技術と材料により、また新しい治療の方法として日々発展している義歯治療です。