朝起きて鏡を見ると、歯茎が赤く腫れている。

歯磨きをすると出血する。

こんな症状を「よくあること」と見過ごしていませんか。

実は、この歯茎の腫れは、全身の健康を脅かすサインが点灯している可能性があります。

口から始まる全身の健康への繋がり

歯茎の腫れは、単なるお口の中だけの炎症ではありません。

炎症を起こして腫れた歯茎には、多くの細菌が活動中ですが、この細菌は歯茎内の毛細血管から、血液中に侵入し、血液の流れに沿って3分後には全身を巡り、様々な臓器に影響を与えます。

心臓の血管壁に付着した細菌は、動脈硬化を促進させ、心筋梗塞のリスクを高めます。

糖尿病患者では、歯周病による慢性炎症がインスリンの働きを妨げ、血糖コントロールを困難にします。

さらに、口腔内の細菌が肺に入り込むことで、誤嚥性肺炎を引き起こすケースも少なくありません。鼻に細菌を体内に侵入させない為の様々な機能が備わっているので、鼻呼吸の方ではそれほどリスクは上がりません。一方、口には細菌を侵入させない機能がない為、口腔内に多くの細菌が存在している場合、肺まで入り込むリスクが高くなります。その為、口呼吸の方は特に注意が必要となります。

口呼吸になる原因として、歯並びの悪化が影響している事や、お口の周りの筋肉・口輪筋や舌の筋肉の低下の影響も大きい要素となります。

ほうれい線が以前より深くなってきた、口角が下がってきた、笑った時に下の歯しか見えなくなってきた…といったことが気になり出した方はご注意ください。

妊娠中の女性では、歯周病菌が早産や低体重児出産のリスクを約7倍に高めるという研究データもあります。

つまり、歯茎の腫れを放置することは、全身の健康システムに深刻なダメージを与え続けることを意味しているのです。

日常生活の豊かさが損なわれていませんか?

歯茎の炎症が進行すると、食べる事への楽しみが徐々に奪われていきます。

好きだったピーナッツ、硬い食べ物が噛めなくなり、野菜の噛み切りが悪くなった。冷たいものや熱いものがしみて避けるようになった。

食事の選択肢が狭まることで、栄養バランスが崩れ、食欲も落ちて、元気が出なくなってきます。そして、体力や免疫力の低下につながります。

マスクをしていると、以前は気にならなかった自分の口臭が気になってきた。すると、会話中に口臭を気にして、人と話すことが億劫になる方もいらっしゃいます。

お口の中のトラブルがあることで口元に自信がなくなると、笑顔を見せることにためらいを感じ、お友達や家族との会食の場から遠ざかってしまう事も徐々に増え始めます。

こうした変化は、精神的な健康にも影を落とします。

また重要な点として、歯茎の炎症が進行し続けると、歯を失う結果となる事です。

一度失った歯は、どんなに医療が進んできたとはいえ、特に噛む機能の回復においては完全には再現できません。その為、歯を数本喪失して初めて、奥歯でしっかり噛める価値に気がつく事は珍しくありません。

咀嚼機能の低下は認知機能にも影響を及ぼし、最近の研究でも歯の残っている本数と、認知度との相関関係については、喪失歯数が多い人の方が認知症リスクが高い事が分かってきています。この点においても、生涯残せる歯の数が多いか否かは、高齢期の生活の質を大きく左右します。

根本から改善する価値

歯茎の腫れに対して、痛み止めや市販の塗り薬で一時的に症状を抑えられたとしても、それは表面的な対症療法に過ぎず、対処療法で一時的に症状を抑えただけでは、繰り返し歯茎が腫れたり引いたりを繰り返すばかりで、かえって病態を拗らせる結果を引き起こします。

湘南歯科医院では、歯周病を重症化する特定菌である“レッドコンプレックス”が口腔内に多く存在しているか否かを治療前検査として行なっています。その結果、“レッドコンプレックス”の歯周病菌がいる場合といない場合に分けて歯周病治療を進めています。

“レッドコンプレックス”が存在する場合は、投薬と歯のプロフェッショナルクリーニングにより、“レッドコンプレックス”菌叢を除去し、歯周病に対しての進行が弱い菌叢へと置き換え、あとは毎食後に歯磨きと定期的な歯科でのプロフェッショナルケアを行うと、重症化リスクはかなり軽減する事ができます。

こうした根本治療は、一時的な対処とは本質的に異なります。

炎症の連鎖を断ち切り、全身への悪影響を止めることができるのです。

早期に適切な治療を受けることで、歯を失うという不可逆的な結果の回避に繋がります。

保険診療では対応しきれない重度のケースでも、専門的な治療により本来の機能を取り戻せる可能性があります。

今日から始める歯茎ケア

歯茎の健康を守るために、まず正しいブラッシング技術を身につけましょう。

先ずは、適度に腰のある歯ブラシを使用し、歯と歯茎の境目に45度の角度で毛先を当て、細かく振動させるように磨きます。

次に、汚れが残りやすい歯と歯の間に、歯間ブラシやフロスを使って、ブラシでは届かない部分の汚れも除去します。

定期的な歯科検診では、自分では取り除けない歯石やバイオフィルム(歯の表面に付く細菌の被膜)を除去してもらいます。

症状が軽いうちに定期的な歯科医院でのケアを継続的に受けることで、大がかりな治療を避けられます。

禁煙も極めて重要です。喫煙は歯茎の血流を悪化させ、免疫機能を低下させます。歯周病の進行を早めます。

バランスの取れた食事で、歯茎の抵抗力を高めることも忘れてはいけません。

健康な体を支える土台として

歯茎の健康は、あなたの体全体の健康基盤そのものです。

小さな腫れや出血という初期サインを見逃さず、早めに対処することが何より大切です。

歯周病で一度吸収した骨は増えて戻る事はありません。その為、歯周病治療では、その進行をできる限り止める予防治療がとても重要です。

生涯、自分の歯で美味しくご飯が食べられる様に、毎日の丁寧なケアと定期的な歯科検診のチェックで、生涯にわたる健康な笑顔を守りましょう。