哺乳期間はいつまでが良い?

哺乳期間とは赤ちゃんがおっぱいを吸っている時期のことです。この時期は赤ちゃんのお口の中の発達の第一段階となる大切な時期です。当院では、1年以上は授乳を継続する事をオススメしています。

赤ちゃんは消化、吸収器官が未熟な状態で生まれてきて、生後一年を過ぎてようやく消化、吸収器官が出来上がってきます。その為、1年未満に母乳以外のものを与えると、体にろ過する機能が備わっていない為、与えられた全ての食品を吸収します。これにより、その後アレルギー反応を起こしやすくなるという懸念がある為、当院では1年以上は母乳中心に育てる事を推奨しています。

赤ちゃんとママ

母乳育児には良い効果が一杯!

産後すぐに母乳が出始める訳ではありません。生後、赤ちゃんがお母さんのおっぱいに吸い付く事で、ホルモンが分泌され始め、数日程度してからようやく母乳は出るようになります。最初は出ないので、焦る方もいらっしゃるかとは思いますが、根気強く続けてみてください。

赤ちゃんにとって、おっぱいを飲むという動作は全身運動なので、とても疲れる運動です。

赤ちゃんは舌と上あごで乳輪部をしっかりとおさえます。

そして、舌の真ん中あたりが盛り上がって乳首を圧迫しポンプのような役割をして、母乳を飲んでいます。正しい飲み込み方を身につける事で、舌、口唇、頬部といったお口周りの筋肉がしっかり発育します。お口の筋肉が発育すると、これに付随して顎の骨もしっかり成長します。

おっぱいを飲む事で疲れると、赤ちゃんはよく眠ってくれます。また、母乳には赤ちゃんの情動を鎮める役割のある成分が含まれていて、母乳をしっかり飲んでいる子供は精神的な落ち着きが得られる効果があります。

人工乳にはこの様な赤ちゃんの情動に作用する成分は含まれていません。カロリーについては人工乳の方が高いようです。

母乳と哺乳瓶の違いは?

哺乳期間は赤ちゃんにとって、お口を育てる大事な第一歩となります。おっぱいが出ても、出なくても哺乳は赤ちゃんのお口周りを作るためのトレーニングで舌と口の周りの筋肉は哺乳行動によって成長し、この時期に正しい筋肉が発育することで、内側からは舌の筋肉、外側からは口唇、頬の筋肉が押し合います。

歯はこの両者の押し合いの力の均衡の取れたところに萌出します。

その為、お口の筋肉のバランスが良い成長は歯並びに関わっています。

哺乳瓶育児の注意点として、哺乳瓶の場合は母乳に比べて赤ちゃんがミルクを飲む時に筋力をそれほど必要としない為、母乳の場合の筋肉の発達に比べ発育量は1/25と言われています。

簡単にミルクが出る哺乳瓶では、舌と口の周りの筋肉のトレーニング効果は少なくなるので、舌、口唇、頬の筋肉の発育が少ないと、歯並びが悪くなりやすいです。

哺乳瓶の口の形も歯並びに影響しています。

吸い口が真っすぐのものがありますが、これは舌癖と言って舌っ足らずの子供がいますが、舌の位置が本来の位置より後ろに下がる、下に下がることで、歯並びに影響がでます。哺乳瓶をお使いの際には、当院ではNUK(ヌーク)をおすすめしています。

ヌークはドイツで開発された哺乳瓶ですが、吸い口が独特な形をしています。これは歯並びを良くする為に、ドイツの国の機関で開発されたものです。

おしゃぶりを使うと歯並びが悪くなる?

おしゃぶり

ここまで書いてきた内容より、お口の中を健康に育てる為には、お口の周りの筋肉の発育が如何に大事かご理解いただけたかと思います。本来おしゃぶりというのは、赤ちゃんのお口の筋肉を発育する為のトレーニング機器であり、赤ちゃんが眠くて泣いた時に、おしゃぶりをくわえ吸啜(きゅうてつ:おっぱいを吸う)運動をすることで、足のつま先まで動く全身運動になるので、吸い付かれると自然に赤ちゃんは寝てくれます。

この吸啜運動により、首や背中の筋肉が付いてくると生後3-4か月くらいで首は座ってきます。この様なお口を健康にきれいな歯並びを作るためのトレーニング機器としてのおしゃぶりの役割は大きいと思います。

おしゃぶりは歯並びが悪くなる、一度おしゃぶりを使い始めると、やめさせるのが大変そう…との話も聞きますが、哺乳瓶と同様におしゃぶりの形やサイズに気を付けていただき、この様な意図で使用して頂ければ、おしゃぶりで歯並びが悪くなることは避けられると思います。

また、指しゃぶりはそのままにしておくと、口呼吸の原因になる、開口(オープンバイト)の原因になるといった問題につながるので、ご注意ください。