上顎・下顎に数本しか歯が残ってない場合の治療の選択肢、

全顎的なインプラント治療(All on 4、6…) / テレスコープ義歯治療…どちらを選択すべきか?

全額的なインプラント治療(All on 4・6 治療)とは…

歯の悪化が進み、残せる歯が数本以下になってしまった人に対する治療で、上顎または下顎の歯列全体に対して、4本ないし6本のインプラント体を顎骨に植立する手術をします。これを土台にして、ブリッジの様な一塊になった歯列の上部構造をお口の中に接着剤またはネジで固定する治療法です。

歯列は智歯を抜かすと上下顎各14本ずつあります。この治療法では14本分の歯列の歯を4本ないし6本のインプラント体で支える仕組みですが、奥歯の根元には太い神経の走行等があるため、インプラント体はあまり奥深い所の位置には植立出来ない事より、多くのインプラント治療では上下6番目の歯までの天然の歯列より少ない12本のショートアーチと呼ばれる歯列にする事が殆どです。

インプラント治療のメリット

インプラントの最大の特徴として、義歯の様に取り外す必要が無い、自分の歯の様に噛める…というところにメリットを感じている方も多いのではないかと思います。

インプラント治療のデメリット

All on 4治療をする場合、上部構造の歯列は12本分の歯が並んでいますが、それを支えているインプラント体は顎骨に植立された4本です。インプラントでは歯列の部分を取れないように固定する為、歯肉と歯列の根元(インプラントの上部構造の歯肉への接地面)は歯磨きで汚れが出せる様に隙間を開けます。しかし、この隙間から息が漏れてしまい発音がしにくくなる、飲み物を飲んだ時にこの隙間から歯の外側に飲み物が流れる。細かい食べかすが詰まる。

これを解消する為、上部構造の歯列の根元と歯肉の隙間を出来る限りピッタリと付けて作製した場合は、歯磨きがとても難しくなる(スーパーフロスが通らない、ブラシの毛を隙間に入れて磨いても奥までは十分に磨けない。)、磨けていないと歯肉が慢性的に腫れる、口臭の原因になる。

1年に数回の歯科医院でのメンテナンスは必須で、この時にAll on 4の上部構造を外して内面やインプラント体周りのクリーニングを行う必要がある。固定しているブリッジの構造上、インプラントの上部構造の裏側は自分では磨ききれないので、歯科医院で外してもらってのクリーニングは必須となる。

ドイツ式テレスコープ義歯(レジリエンツテレスコープ義歯)治療とは…

ドイツ式入れ歯

一般的なクラスプ義歯(バネで固定するタイプの義歯)は、義歯の留め具(バネ)がフレキシブルに噛む度に動き義歯の安定感は得られない。一方、テレスコープ義歯では残存歯を内冠でカバーし、内冠にピッタリ重なる形の外冠が義歯の内面に埋め込まれていて、義歯をはめた際には内冠と外冠がピッタリ重なる事で、義歯を固定する仕組みになっています。また、義歯形態は上顎または下顎の歯肉全てを覆う総義歯の形態をとる事で義歯と歯肉との間に空気層が介在する余地がなくなり、より口腔内への密着度を高める構造となっています。これにより、テレスコープ義歯は他の義歯には出せない固定感を実現させている義歯である。

テレスコープ義歯治療のメリット

・残っている自分の歯がしっかりとしている歯であれば、歯を抜かずに治療が可能である

・インプラントの様に治療時に手術の必要がない

・歯が無い部分の歯肉は痩せているので、顔の輪郭は歯も何も入れてないと凹んだ印象になります。インプラントの場合は殆ど歯肉形態がつかない歯の上部構造となる為、お顔の輪郭が凹む印象が反映され易くなります。

一方、テレスコープ義歯は痩せた歯肉部分を義歯床が覆う形態になります。これにより、お顔の輪郭を外側から見た時に、歯があった時の様な自然な輪郭に直ります。

・インプラントは義歯の様に外さないで口腔内にネジまたは歯科用接着剤で上部構造(歯の部分)を固定します。その為、歯肉と上部構造の歯肉面との接地部分は少し隙間が開きます。こうする事により、歯磨きで歯肉とインプラントの歯との間に詰まった汚れを歯磨きで落とせる様にする為です。

一方、テレスコープ義歯は外せるので、歯肉と義歯は極力ピッタリ隙間を作らず密着させます。これにより、お口の中での固定感と装着感の良さを実現します。義歯は外せますので、歯磨きの時には義歯は外して、歯と義歯の両方をキレイに磨いてお口の中の清潔度を保っていきます。義歯は外せるのですが、それは歯磨きがし易くする為なので、歯磨き後は就寝時も含めて、24時間嵌めたままご使用頂けます。

・テレスコープ義歯は外せるので、歯肉と義歯はピッタリ隙間を作らず密着させます。

これにより、インプラントと比較して義歯に食べかすが詰まりにくい、喋る時に音が漏れにくく発音がし易くなる特徴があります。

テレスコープ義歯のデメリット

義歯は外せる事がデメリットでもありメリットでもあります。患者様の中には食事中や人と話している時に義歯は外れる心配があるので、外せない=外れないという理由でインプラントは選択されています。

テレスコープ義歯は一般的なクラスプ(バネ)義歯と比べ適合性が良く、密着度の高い義歯なので、食事の時や喋る時でも安心して使える義歯です。

まとめ

外せないインプラント治療と外せるテレスコープ義歯治療では、この様にインプラント治療のデメリットはテレスコープ義歯のメリットにあたり、テレスコープ治療の特徴である外せる義歯に抵抗感を持つ方は、外せないインプラント治療を選択できます。

それぞれの治療の特徴を知った上で、ご自分に合った治療の選択を行なって下さい。