症例 6

初めは…

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この方の上の前歯6本は、ブリッジ(つながった歯の被せもの)でした。一見、歯は悪くない様に見えますが、前歯は2本しか残っていませんでした。その為、上の前歯の被せものはグラグラと、もうすぐ壊れそうな状態になっていました。また、上の奥歯も下の奥歯も被せて治療した歯が多数ありましたが、被せて治した歯が次々に壊れたり、下の前歯が欠けたりと、色々と問題が起きてきて治療のご相談にみえました。

ご本人は、「よく噛めないので、治したい」とおっしゃっていました。

こういう場合に当院では、何が原因になって次々に歯が壊れていったのかを調べる為、歯の模型によるかみ合せの検査をまず最初に行います。この検査によって、壊れた原因を調べ、どういう治療をすれば再度壊れないよう治せるかを判断します。そして、治療した歯がこの先、しっかり長持ちするような治療計画を治療前に立て、患者様と治療の方向性を話し合います。治療のゴールが決まったら、治療はスタートします。

この方の場合は、上の前歯と下の前歯の位置関係が悪く、上下の前歯がかみ合っておらず、下の前歯が上顎の歯肉に食い込むようなかみ合わせでした。こういうかみ合せの方は、下の前歯が後ろから上の前歯を前に押すような形になり、上の前歯が徐々に出っ歯になるかみ合わせです。また、奥歯しか咬み合わないので、上も下も奥歯の悪化が進みやすくなります。その為、奥歯の被せものがしょっちゅう取れたり、壊れたりを繰り返します。ですから、治療のゴールとしては、

1)上と下の前歯が咬み合うような歯の位置、形に治す。こうすることで、前歯と奥歯のかみ合せのバランスが整うため、奥歯の耐久年数が長くなるようにする。(前輪2つのタイヤが小さい車を作っても、車は長く走れません。前後のタイヤ4つの大きさが同じ車の方が、より安定して、長期間走り続けられるのと一緒です。)

2)奥歯の治したところが、割れたり、取れたりしないような工夫をする。

大きくは、これを元に計画を立てました。 

治療が終わると…

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歯の本数が多く、歯の神経もしっかり健康で、顎の骨の状態もよかったので、入れ歯というよりは、取り外せるブリッジ(取り外せる被せもの)で治しました。

取り外しがきく分、将来的に歯が悪化するようなことになっても、修理が可能なので、修理の後で、またこの入れ歯を引き続き使っていただけます。

それが、テレスコープ義歯の大きなメリットの一つです。

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これが、テレスコープ義歯です。

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テレスコープ義歯をはずしたお口の中の状態です。

このように、お口全体を総合的にみて、必要な部分を治しておけば、治療が終わった後にも、また別のところが悪くなった・・・というようなずっと歯を治し続ける負のサイクルへ陥ることは避けられます。

今は6か月ごとの歯のクリーニングとお口全体のメンテナンスを定期的に行い、お口の状態を維持しています。海外出張も多く、働き盛りでお仕事が忙しい方なので、歯の心配なくなり、外での食事がおいしく食べられると、毎日が楽しく過ごせますよね。