🦷歯を削ると虫歯になりやすいってホント?歯の耐久年数は変わるのか?
単に歯を削ったからと言って、削った歯の虫歯のリスクは上がりません。それよりも、歯の神経の治療をすると、歯の耐久年数は確実に下がります。
歯を長持ちする為の2つの要素
①歯を欠損する、虫歯などによって歯の形態が崩れてしまった場合や歯のかみ合わせが悪い場合など、そのまま放置することで、歯の高さを保つ事ができずに徐々に歯の高さが潰れてきて、かみ合わせが徐々に低くなる、前歯が出っ歯になるといった悪化を伴う変化を生じてきます。その際には、上下の歯のかみ合わせバランスを整えて、ここの歯に加わる咬合力ストレスが過大にならないようにコントロールが必要になります。
咬合力のストレスが増えると言うのは例えるなら、真っ直ぐ車体がブレない道を走っている車に比べて、凸凹道を毎日走っている車は振動を受け続けて、車体にダメージを受けやすく、ダメージをより多く受けている車の方が長持ちしないと思います。
歯も一緒で、顎の動きがスムーズで、バランスの良い噛み合わせの人は、歯列全体で咬合力(上下の歯が噛み合う力)が分散されるので、一部の歯に咬合力が集中する事がなく、歯は長持ちします。
②お口の中の細菌コントロールが良く、虫歯菌、歯周病菌が少なく、歯磨きの状態が良い。
歯にダメージを与える2つ目の要素は細菌です。虫歯菌はその毒素が歯に穴をあけ、歯周病菌は歯を支えている骨を溶かすから、歯がグラグラになります。その為、細菌コントロールが上手にできていれば、虫歯リスクは下がります。歯と歯が重なって生えていたり、親知らずが歯肉に埋もれている、横に生えているといった歯並びも細菌コントロールを悪くする要素となります。
歯を削って被せものを付けたとしても、①、②が正しくコントロールされていれば、歯を削ったか、削らないかはその歯の耐久年数に影響はほぼしないと言えます。
歯は削って被せて治してもそれほどダメージは受けません。しかし、歯の神経をとった歯の耐久年数は確実に下がります。
なぜ、この両者に違いがあるのかと言うと、
- 歯は神経が生きている事で、ここから栄養をもらっています。その為、歯の神経を取ってしまうとその歯は枯れ木と同じ様な状態になります。神経を取って数年経過すると、噛む力(咬合力)が歯にかかることで、歯にヒビが入り、割れてしまうリスクがとても高くなります。
- 歯の構造は、歯の中心部分に筒状の空洞があり、ここに神経と血管が入っています。神経を取ると、この空洞は薬で満たされますが、中心が筒状の空洞の構造になっている為、強い衝撃が加わるとヒビが入り、割れるリスクが高くなります。
その為、当院では歯を削ってかぶせる必要があったとしても、歯の神経を極力残した(生活歯)治療を行っています。
この様にする事で、被せて治した歯でも長期間長持ちさせる事ができます。
歯を削った後に染みたり痛みが出ない様に治療する事はとても難しく、歯を削っている間に焦げ臭いような匂いがしたら、既に歯が火傷をしているので、後からしみたり痛くなったりする可能性があります。その為、歯を削る際には体温と同程度の36℃の温度の水をたっぷり歯に掛けながら、歯を火傷させない様に削合する技術や器械が必要になります。
当院では、この点に配慮しドイツ、KAVO社製のユニットを採用しています。
KAVOのユニットは、他の器械にはない消毒システムがユニット内に内蔵されており、歯を削る為の器械から出る水やうがいに使用する水に至るまで器械内の全ての水は水消毒シクテムによる低濃度の過酸化水素水を使用しています。治療により歯にダメージが加わる事がなく、更に削った歯面は消毒された感染しにくい創面を保つことができるので、治療による2次的な感染リスクが避けられます。
テレスコープ義歯治療・ダブルクラウン義歯治療・ブリッジ治療・クラウン治療などは歯の削合を伴う治療です。でも、どうしても歯を削らなければ、お口の中の歯列の安定が保てないのであれば、一番安全な状態で歯を治療する事が、引いては歯列全体を変化が起きづらく、長持ちさせる為の要件だと思います。
勿論、一番良いのは、歯を削らない事です。しかし、これは予防するしかできません。
既に歯の欠損や虫歯ができた場合は、それを放置したままだと、最初にお話しした①の咬合力を安定して支える歯の数や強度が足りず、徐々に虫歯ではなくても健康な歯が壊れ始めます。
この様な事が起きてこない様にするためには、咬合力を上回る強度を持った歯列に直す必要があります。治す方法としては、その人のお口の状態によって異なり、歯の矯正治療・テレスコープ義歯治療・ダブルクラウン義歯治療・ブリッジ治療・クラウン治療などが挙げられます。
〈まとめ〉
①と②の両方の条件が備わったお口の状態では、歯列全体の歯が長持ちします。
しかし、①が保てない場合には、歯の治療が必要になってきます。でも、歯を削ったらどんな場合にも、歯の耐久年数は下がるのか? そうではなくて、その治療のやり方や歯の状態によって耐久年数は異なる結果になり得ます。上記の中で、歯を長く持たせるには何が自分に必要なのか…最善を選択していただく事で、将来のお口の中の状態はより良くすることが可能です。