スイスのインプラントの学会に参加してきました。

スイスのバーゼルで、3年に一度のITIインプラントの学会が行われました。私の医院ではインプラント治療をしていませんが、最近インプラントの治療をすでになさっている方が入れ歯の治療をご希望なさることも増えてきましたので、この機会に勉強しに行ってきました。そこで私が感じたことをお知らせしたいと思います。

インプラントを選択すべきか、入れ歯を選択すべきか…について

ほんの数本の歯を失って、ブリッジのように両隣の歯を削って、歯を被せる治療に抵抗のある方には、このような場合、インプラント治療はとても見た目にきれいな歯が入るので有効な治療だと思いました。

多くの歯を失った場合や奥歯を2本以上失った場合は、通常、入れ歯が適応症となりますが、このような場合はどうかというと、インプラント義歯の場合、入れ歯にものが詰まりやすい、耐久年数の問題、よく噛める入れ歯かどうか…という点においては、断然、当院で行っているテレスコープ義歯の方が有利な治療方法でした。とはいえ、いわゆる一般的なバネの入れ歯(クラスプ義歯)では、到底インプラント義歯にはかなわないでしょう。

今回、私が感じたインプラント治療について

インプラント治療は、顎の骨に穴を開けて、インプラント体という歯の根にあたる部分を骨に植えるという認識でしたが、今回見た殆どの症例で、インプラント体を植立する際にGBR法が行われていました。(このGBR法というのは、骨誘導再生法ともいい、インプラント体を植立する際に、インプラント体と植立する骨との間に自家骨を固定したり骨補填材を入れて、その上からメンブレンという骨の再生を促す膜を固定して歯肉を閉じて、しばらく期間を置くことで、植立したインプラント体のまわりに骨を増やす、厚くする方法です。)特に前歯の部分にインプラント体を植立しようとした場合、前歯と口唇との間の骨(前歯の外側の骨)は厚みが薄い為、インプラントを植立して暫く経つと、骨の吸収も早く植立したインプラント体の根元から金属部分が露出してくる事と、骨の吸収が進むとインプラントの耐久年数も下がってしまう為、このような治療が必要とのことでした。前歯の部分にインプラントを植立する際に、まわりの骨の造成も考慮しなければいけないということは、とても勉強になりました。

このような情報も踏まえて、受診される方への治療の適切な選択がアドバイスできればいいな…と思います。

前の投稿

European Prosthodontics Association/ ヨーロッパ補綴学会で、学術発表をしてきました。

European Prosthodontics Association/ ヨーロッパ補綴学会で、学術発表をしてきました。
顎咬合学会へ行きました
次の投稿

顎咬合学会へ行きました