まだ、痛い入れ歯を我慢して使っていませんか?

「入れ歯だから、多少痛いのは仕方がない」
「ちょっと合わないけど、、使っているうちに慣れるものなんでしょ?」
そう思って、痛みや違和感を我慢しながら入れ歯を使っていませんか?
毎回の食事の度に、入れ歯が食い込んで歯ぐきが痛い。
噛む度に、喋る度に入れ歯が動く。
話をすると入れ歯がずれて喋りにくい。
何度調整しても、なんとなく違和感がある。
こうした悩みがあると、食事をすること自体がストレスになってしまうことがあります。
しかし、「入れ歯だから痛いのは当たり前」ではありません。
もちろん、義歯を入れたばかりの時期では、口の中が新しい装置に慣れるまで違和感を覚えることがあります。
一方で、痛みや動きが長く続いている場合には、入れ歯の形や適合性、咬み合わせ、力のかかり方など、何らかに合わない原因が隠れている可能性があります。
今回は、入れ歯が「痛い」「動く」「噛みにくい」と感じるのはなぜなのか、そして義歯治療で大切な「設計」について考えてみます。
入れ歯の痛みは「慣れれば終わる」とは限りません
入れ歯を初めて装着すると、
「口の中に何か入っている感じがする」
「舌が引っ掛かる」
「少し話しにくい」
などの違和感を覚えることがあります。
こうした感覚は、義歯という新しい環境に口腔内が適応するまでの一時的な反応である場合もあります。
しかし、
食事のたびに歯ぐきが痛い
噛むと特定の場所が強く痛む
義歯が動いて粘膜に当たる
といった状態が続いているのであれば、「そのうち慣れる」と我慢し続けるのではなく、一度原因を確認することが大切です。
痛みには、義歯そのものの問題だけでなく、口の中の状態や咬み合わせなど、複数の要因が関係することがあります。
なぜ入れ歯は痛くなったり、動いたりするのでしょうか?
入れ歯の痛みや不安定さには、さまざまな原因があります。
例えば、
- 入れ歯と歯ぐきの形が十分に合っていない
- 義歯の一部分に力が集中している
- 咬み合わせのバランスが崩れている
- 残っている歯との関係に問題がある
- 義歯を支える歯や歯ぐきの状態が変化している
- 義歯の外形や設計が口の状態に合っていない
などです。
特に重要なのが、「どこで、どう咬合力を受け止めるのか」という視点です。
入れ歯は、ただ口の中に嵌められれば良いというものではありません。
食べ物を噛んだときには、義歯にも力が加わります。
その力をどこで受け止め、どこへ逃がし、残っている歯や歯ぐきにどのように伝えるのか。
このバランスを考えることが、義歯の安定性や使用感を考えるうえで重要になります。
「噛む」は上下の歯を当てるだけではありません
義歯の咬み合わせを考えるとき、
「上の歯と下の歯が当たっていれば、それでいい」
と考えてしまうかもしれません。
しかし、実際の咀嚼(そしゃく)では、それだけではありません。
顎は上下に動くだけでなく、前後・左右にも動きます。
さらに、
- 顎関節
- 咀嚼筋
- 舌
- 頬
- 唇
- 歯ぐき
- 残っている歯
- 義歯
など、さまざまな要素が関係しながら、食べ物を噛み砕いていきます。
そのため義歯の設計では、単に「歯を並べる」だけではなく、
顎の動きや残っている歯との関係まで含めて、噛んだときにどのように入れ歯に力がかかるのか
を考える必要があります。
入れ歯が「動く」のにも理由があります
部分入れ歯を使っていて、
「噛むと入れ歯が沈む」
「硬いものを噛むとズレる」
「食事中に浮くような感じがする」
と感じる方もいます。
義歯は、口の中に固定された被せ物の歯やブリッジの歯とは異なり、支え方や設計を考える必要があります。
特に部分入れ歯では、残っている歯と歯ぐきなど、限られた部分で義歯を支えることになります。
そのため、どこを支えにするのか、どの方向の力に対して安定させるのかによって、装着感や動き方が変わってきます。
「入れ歯が動くから、入れ歯はこんなもの」
と諦めるのではなく、
なぜ動いているのかを考えること
が大切です。
残っている歯とのバランスも重要です
部分入れ歯では、残っている歯が重要な役割を持っています。
一方で、その残っている歯にどのような力が加わるのかも考えなければなりません。
義歯の設計によって、噛んだときの力が特定の歯や歯ぐきに集中すると、その部分に過度な負担がかかることがあります。
そのため、
「歯が残っているから、その歯に入れ歯を引っかければいい」
という単純な話ではありません。
どの歯を支えにするのか。
どの方向から力が加わるのか。
義歯が動いたときに、どこへ負担がかかるのか。
上下の歯が噛み合ったとき、力がどのように伝わるのか。
過度に残っている歯に力がかかりすぎない様にするには。
歯の無い部分の咬合力をどうやって逃すか。
こうしたことを総合的に考えた義歯設計が必要になります。
「入れ歯が痛い」の裏側に、咬み合わせの問題があることも
入れ歯の痛みというと、
「歯ぐきに当たっているのかな?」
と考えることが多いかもしれません。
もちろん、義歯の縁や床の一部が粘膜に強く当たっていることもあります。
しかし、痛みの原因はそれだけではありません。
咬み合わせのバランスが悪く、噛んだときに義歯が一方向へ動けば、その動きによって特定の部分へ圧力が集中することがあります。
つまり、
「痛い場所だけ削れば解決する」
とは限らないのです。
痛みが繰り返す場合には、
「なぜ、そこに力が集中しているのか」
というところまで考える必要があります。
義歯は「作って終わり」ではありません
義歯は、完成した瞬間がゴールではありません。
口の中は時間とともに変化します。
残っている歯の状態が変化したり、歯ぐきや顎の骨の状態が変わったり、咬み合わせが変化したりすることもあります。
そのため、義歯を長く使用していくには、装着後の確認や調整、メインテナンスも重要です。
実際に、義歯の長期的な経過を調べた研究でも、義歯そのものだけでなく、支えとなる歯の状態や定期的なフォローが長期的な使用に関係することが示されています。
「一度作ったから、何もしなくても10年そのまま使える」というものではなく、
お口の変化に合わせて義歯を管理していく
という考え方が大切です。
湘南歯科医院が大切にしている「義歯の設計」
湘南歯科医院では、義歯を単純に「失った歯を補う装置」として考えていません。
大切にしているのは、
その患者様のお口の中で、どのように機能させ、どのように咬合力を受け止めるのか
ということです。
残っている歯の状態。
歯ぐきや顎の状態。
失った歯の位置や範囲。
上下の歯咬み合わせ。
上下の顎骨の大きさや位置の差。
顎の動き。
こうしたさまざまな条件を確認したうえで、どのような義歯の設計が適しているのかを考えます。
特に部分入れ歯の場合には、残っている歯をどのように活かすかという視点も重要です。
テレスコープ義歯という選択肢
湘南歯科医院では、ドイツ式のテレスコープ義歯を扱っています。
テレスコープ義歯は、残っている歯に内冠を設け、義歯側の外冠と組み合わせる二重冠構造を利用した部分義歯です。
一般的なクラスプ式の部分入れ歯とは異なる考え方で、残っている歯を支えとして義歯を設計します。
この構造には、義歯の維持や支持を考えた場合、一般的な入れ歯より有利な特徴があります。単にテレスコープ義歯と言っても、幾つかの種類があり、患者様のお口の状態や生活スタイルなどによって、義歯の種類や設計をその方に合わせてカスタマイズする特徴があります。
残っている歯の状態や歯周組織、咬み合わせ、欠損の範囲などを十分に確認し、義歯の設計の適応を判断することが大切です。
つまり、
「テレスコープ義歯だから痛くならない」
ということではありません。
大切なのは、患者様のお口の状態に合わせて、適切な設計を行うことです。
湘南歯科医院では「見た目」も設計の一部と考えています
義歯を作るとき、機能だけを考えれば十分でしょうか?
私たちは、そうは考えていません。
以前の回でもお話ししたように、
「しっかり噛めること」と「自然な口元」
の両方を大切にしています。
人工歯をどの位置に並べるのか。
歯の大きさや形をどうするのか。
笑ったときにどの程度歯が見えるのか。
唇や顔全体とのバランスはどうか。
こうした要素によって、口元の印象は変わります。
湘南歯科医院では、院長が患者様一人ひとりのお顔立ちや表情、口元のバランスを見ながら、人工歯の排列を考えています。
目指すのは、
「いかにも入れ歯」という印象ではなく、その人自身の口元として自然に見えること。
それも、義歯治療の大切な部分だと考えています。
「痛いから入れ歯を外しっぱなし」という状態にしないために
入れ歯が痛いと、
「今日はあまり食べないから外しておこう」
「人と食事をする日は使いたくない」
「旅行中は入れ歯を外せないから苦痛だ」
と、生活そのものが制限されてしまうことがあります。
また、義歯が合わないからといって、外しっぱなしにする事で、体の姿勢が保てず、腰痛になったり、
お口の周囲筋力の低下が進み、むせやすくなる、風邪を引きやすくなる、柔らかいものしか食べられなくなる
といった弊害を招きます。
義歯の役割は、歯を補うことだけではありません。
食事をする。
会話をする。
笑う。
人と会う。
外出する。
こうした日常生活を支えることも、義歯の重要な役割です。
だからこそ、義歯は「我慢して使うもの」ではなく、
できるだけ快適なもの、日常生活の中でも長時間はめていられる装置に設計・調整していくこと
が大切なのです。
痛みがあるのは「仕方がない」で終わらせない
入れ歯を使っていて、
「食事をすると痛い」
「噛むと歯ぐきに食い込む」
「入れ歯が動いて食べにくい」
「何度調整しても違和感が続く」
という場合には、まず原因を確認してみることをお勧めします。
痛みの原因が義歯の形にあるのか。
咬み合わせにあるのか。
残っている歯にあるのか。
歯ぐきや口腔内の状態にあるのか。
原因によって、必要な対応は変わります。
ただ痛い場所を削るだけではなく、
「なぜ痛くなっているのか」
を治療する事が重要です。
まとめ|快適な義歯は「慣れ」だけで決まるものではありません
「入れ歯だから、多少痛くても仕方がない」
「動くけれど、慣れれば大丈夫」
と考えてしまいがちな義歯の悩み。
しかし、痛みや不安定さには、義歯の適合、咬み合わせ、咬合力のかかり方、残っている歯や歯ぐきの状態など、さまざまな要因が関係している可能性があります。
だからこそ、
痛いなら、今使っている入れ歯を調整すれば治る痛みなのか。
動くなら、今使っている入れ歯を調整すれば動かなくなるのか。
噛みにくいなら、今使っている入れ歯を調整すれば噛みやすくなるのか。
という視点から義歯を見直すことが大切です。
もし、入れ歯の設計自体に問題があるのであれば、義歯の調整だけで解決するのは難しいかもしれません。
湘南歯科医院では、ドイツ式のテレスコープ義歯を含め、一人ひとりのお口の状態に合わせて、義歯の支持・安定・咬み合わせを考えた治療を行っています。
そして、機能だけでなく、人工歯の排列や口元全体のバランスまで考え、
「しっかり噛めること」と「自然で若々しい口元」
の両方を大切にしています。
入れ歯の痛みや動きを「仕方がない」と諦める前に、
その痛みや違和感は、何が原因なのか。
湘南歯科医院では、より快適な義歯にするには何が必要なのかから考えた義歯をご提案しています。
次回は「義歯の設計」について
ここまで読んで、
「では、実際に入れ歯はどのように設計されるの?」
「残っている歯は、どうやって義歯の支えになるの?」
「同じ部分入れ歯でも、なぜ違いが出るの?」
と思われた方もいるかもしれません。
次回は、義歯治療でも特に重要な、
「入れ歯は、どう設計するかで変わる」
というテーマについて詳しくご紹介します。
見た目だけでは分からない、義歯の「設計」という考え方を掘り下げていきます。
湘南歯科医院
湘南歯科医院では、ドイツ式のテレスコープ義歯を中心とした自費義歯治療を行っています。
残っている歯や歯ぐき、咬み合わせなど、お口の状態は患者様一人ひとり異なります。
だからこそ、義歯も一人ひとりに合わせて考えることが大切です。
「入れ歯が痛い」
「入れ歯が動く」
「噛みにくい」
「自然な口元にしたい」
そのようなお悩みがある方は、まず現在の義歯やお口の状態についてご相談ください。
